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ときめき純愛ラブストーリー「私立湘南学園」 |
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やぁ、僕は高校2年生。私立湘南学園に通っているんだ。名前は、
1.花形。同じクラスに好きな娘がいるんだ。[Click!]
2.毒島(ぶすじま)剛一。同じクラスに好きな娘がいるんだ。
3.シャロン・ストーン。友達が髪の毛について色々言ってくるンダ。
1.花形。同じクラスに好きな娘がいるんだ。
でも、この想いは彼女に届いていない。いつもなかなか言い出せないんだ。
ところが、クラスの女子の噂では、彼女は今週の土曜日に引越してしまうらしい。あと3日しかない。
そう思った僕は、その晩寝る前に決意したんだ。
1.彼女に告白しようって。
2.彼女にプレゼントを贈ろうって。[Click!]
3.彼女を誘拐しよう。それしかないのだ。
(埼玉県・PN:パンの耳工場)
1.花形。同じクラスに好きな娘がいるんだ。
その娘の名前は…おっと、始業ベルが鳴ってる。急がなきゃ。駆け足で階段を上り、2年百合組の教室にまっしぐら。しかし、担任の月影先生は既に出欠を取り始めていた。
「花田。…花形はいないのか?」
「います!ここにいます。」
「なんだまた遅刻か。もう少し気を付けろよー。今週だけでもう、2度目だぞ。」
「はぁーい、どうもすいません。」
「いいから早く席につけ。」
「はい。」
自分の席に向かおうとした時、留め金が緩んでいたのか、カバンのふたがぱっくり開いて、中に入っていた教科書やペンケースが床に落ちてしまった。
カラカラと音をたて、転がって行く鉛筆や赤ボールペン。
「あちゃー。またやっちゃたよー。」
僕は慌てて、床に散らばった文具を拾い集めた。爆笑するクラスメートたち。
そんな中1人の女子が黙って一緒に拾い始めてくれた。その人こそが、
1.僕が想いを寄せている、クラスのアイドル的美少女、星野みゆきだった。
2.まだ1度も話した事がない、分厚いメガネをかけたガリ勉図書委員長、村山幸枝だった。
3.僕だけに見える、謎のロシア美女だった。
(千葉県柏市・PN:ごみ)
3.シャロン・ストーン。友達が髪の毛について色々言ってくるンダ。
ナゼって?それはボクがアメリカ人で、金髪ダカラ。ニッポンのみんなは、この金髪がうらやましいらしくって、色々言ってくるのサ。
ボクはダディの仕事の都合でニッポンにいるんダケド、あと1ヶ月したらステイツに帰らなければナラナイ。グランパもボクの帰りを待ってルシ。
デモ、ボクは今片想い中。相手は、クラスメートのリエコチャン。果たしてニッポンにいる間に、リエコチャンのハートを手中に収めることが出来るのカナー。
アッ、向こうからやってくるのはリエコちゃんダ。ボクは、
1.思いきって、「オハヨウ!」と声をかけてミタ。
2.ハズカシクて、うつむいたまま通りすぎてシマッタ。
3.ヘチマダワシで殴りカカッタ。
(千葉県千葉市・PN:ガンビット)
1.花形。同じクラスに好きな娘がいるんだ。
その娘の名前は、安室山奈美江。
変な病気にかかったみたいな踊り方をするけど、校内ミスくしゃくしゃ犬ヅラコンテストで、落合夫人を破って見事1位に輝いた、ラヴリーフェイスさ。
ところで実を言うと、僕は1週間前にこの学校に転校してきたばかり。色々優しく面倒見てくれた奈美江ちゃんに恋しちゃったわけなんだけど、そろそろ何かの部活をやろうと思ってる。
奈美江ちゃんのいる部にしようか、自分のやりたい部にしようか、夕べ一晩考えたんだけど結局、
1.奈美江ちゃんがいる、天文部に入る事にした。
2.自分のやりたいバスケ部に入る事にした。
3.先生に勧められた、永井豪研究会に入る事にした。
(千葉県千葉市・PN:ガンビット)
2.彼女にプレゼントを贈ろうって。
財布の中を覗いてみた。貯金箱も開けてみた。しかし、全部合わせても74円しかない。
どうしよう。お金をかけずに、何かいいプレゼントはないものか?
そして僕は決めた。
1.歌をプレゼントしようって。[Click!]
2.花束をプレゼントしようって。
3.1人エレクトリカルパレードをプレゼントしようって。
4.レ・ミゼラブルチョップをお見舞いしようって。
(広島県・PN:電光石火)
1.彼女に告白しようって。
僕は徹夜でラブレターを書いた。そして朝一番に学校に行き、彼女の机の中にラブレターを入れたんだ。
内容は、
1.「今日放課後、屋上で待ってます。−花形より」
2.「明日放課後、映画に行こうよ。−花形より」
3.「6たび生まれ変わりし時、黒太陽の紫外線を浴びる、血涙を流す。僕の考えたマークを見ろ!(裏に続く…キャー!空想の中から出てきた虫の図)」
(東京都中野区・PN:テレホンモンガモンガ)
1.彼女に告白しようって。
でも、彼女に告白する場面を色々想像していると、ドキドキしてなかなか寝付けない。結局、僕は一睡も出来ずに学校に行く事になった。
バス停まで行くとそこに彼女がいた。そう、彼女と僕は同じバス停を使っているんだ。告白のチャンスは今しかない…バス停まであと少しだ。僕の緊張はピークに達した。
するとそこにバスが来て、彼女はバスに乗って行ってしまった。
「どうしよう。」そう思うと同時に、僕は走り出していた。バスを追いかけるんだ、無駄なことはわかっている、でもそうせずにはいられなかったんだ。バスの中の奴が僕を見て笑っているのが見える。でも構うもんか。チャンスは今しかないんだ。僕の想いを伝えるんだ。
そしてしばらく走っていると、
1.バスの中で彼女が不意に窓を開け、僕に向かって何かを言っているのが見えた。
2.バスの中の彼女が、他の男子と楽しそうに話しているのが見えた。
3.突然飛び出してきたスーパーカーにはねられた。5mほど吹き飛んだようだ。
(世田谷区・PN:ごはん三昧)
1.彼女に告白しようって。
朝、僕はウォークマンでMr.Childrenの「シーソーゲーム」を聴きながら、彼女の告白の言葉を考えていた。
「おはよっ、花形君。」ポンッと肩を叩かれた。
振り向くとそれは彼女だった。僕は胸の高鳴りを押さえ切れず、息が荒々しくなるのを感じた。
そして、思い切って口を開けた。
1.「は、話したい事があるんだ。放課後、体育館の裏で待ってる。」彼女は「なに?」と少し驚いたようだった。
2.「君の事、す、す、す…」まだ言い終わらない内に、彼女の幼なじみの彰総(あきふさ)が入ってきた。
3.「僕は君を愛してる。君のためなら死ねる。」僕はもうどうにでもしろと言わんばかりに、大の字になって寝転んだ。
(?・PN:犬人形)
1.彼女に告白しようって。
しかし、僕には強力なライバルがいる。学校一の人気者で僕とは比べ物にならないぐらいカッコいい、同じクラスの佐伯だ。
噂によると、彼も彼女に告白する気持ちらしい。このままでは僕に勝ち目なんかありゃしない。
考え抜いた挙げ句に僕は決めた。
1.急げ、佐伯よりも先に彼女に告白するんだ。
2.今日の昼休みに、彼女にデートを申し込むんだ。
3.今日中に奴を消せ。
(東京都中野区・PN:テレホンモンガモンガ)
1.歌をプレゼントしようって。
そして僕は机に向かった。3時間余り考え込んだ後だろうか、彼女にプレゼントする歌の名前がやっと決まった。
1.「Good-bye
and again.」
2.「恋の歌」[Click!]
3.「雨樋(あまどい)にはまって腐ったゴムマリ、拾った所でペコッペコッ」
(広島県・PN:電光石火)
1.歌をプレゼントしようって。
僕は歌作りに夢中になった。彼女が転校してしまうその日までに、完成させなければならない。
そうしてる間に、ついに彼女が転校する日になってしまった。
僕は、
1.自作のラブソングを彼女へ捧げるため、放課後教室に残ってもらった。
2.彼女のお別れ会の時に、みんなの前で歌う事を決意した。
3.放送室をジャックし、彼女の聴く最後の帰りの放送で流す事を決意した。
(東京都中野区・PN:テレホンモンガモンガ)
2.花束をプレゼントしようって。
そうして僕は、近所の幼なじみの花屋のお姉さんの所へ行った。
彼女に、告白したい折りを話して、何とか花束を譲ってもらえるようにお願いした。
すると、
1.お姉さんは快く花束を僕にくれた。
2.なんと、彼女が花を買いにやって来た。
3.甘い臭いの汁を出す、いかにも密林にしか生えないよーという、赤地に黄色まだらの、お姉さんが説明する所の『ガブッチョダリア』という花をもらった。
(山口県下関市・PN:忍者じゃじゃ丸くん)
4.レ・ミゼラブルチョップをお見舞いしようって。
口下手で、取り柄と言えばフランス武術しかない僕が、彼女の記憶の片隅にでも残してもらうには、そうするしかないのだ。
しかし、
1.レ・ミゼラブルチョップはその名の通り無情なチョップ。なまじ愛情が残ったまま繰り出せば、技は失敗する。
2.レ・ミゼラブルチョップはまだ未完成だ。このまま繰り出せば、僕か彼女、どっちかが死ぬ。
3.レ・ミゼラブルチョップはフランス武術界では封印された大技。このまま繰り出せば、ラメ帯は剥奪だ。
(東京都・PN:TBSの方も聴いてます)
2.「恋の歌」
レポート用紙に題名を書き込むと、今まで僕が貯めてきた想いがシャープペンシルを伝わって次々とあふれ出た。
気が付けば、朝7時半。ひとまず学校へ行かなければならない。
自転車をこぎながらも、僕は作りかけのメロディーにのせて恋の歌を口ずさんでいた。学校まであと5分。
最後の曲がり角を曲がった所で、とんでもない事が起きた。
1.彼女とばったり会ってしまったのだ。[Click!]
2.彼女が、他の男と楽しそうに話しながら歩いている所に遭遇してしまったのだ。
3.飛び出してきたスーパーカーにひかれてしまったのだ。
(福岡県・PN:セントギガ男)
2.「恋の歌」
に、しよう。タイトルを決めてからまだ5時間、また5時間、僕の想いを一気に書き上げた。
「いつも遠くから見ていた。君がキラキラ輝いているから、何気ないその仕草を1つ1つまた見つけるたびに、心はブラックホールへ吸い込まれていくようだ。
黒板に書かれた落書きは、まるで今の僕みたい。でも消されずに残ってる。
恋の気持ちはくっきりと、ここに僕がいるんだってことを歌って君に届けよう。
恋すれば、恋した時、恋しよう。それが僕の恋の歌。」
彼女の好きな槙原敬之チックに仕上げたつもりだが、気に入ってもらえるだろうか。こうなったら曲は、
1.やっぱり、ギターでつけてみよう。
2.やっぱり、ハーモニカでつけてみよう。
3.やっぱり、吹くと伸び縮みする笛でつけてみよう。
(相模原・PN:月刊ピングー増刊号)
3.「雨樋(あまどい)にはまって腐ったゴムマリ、拾った所でペコッペコッ」
一見ふざけたような題名だけど、これには深い意味があるんだ。
僕は恋をゴムマリに例えたんだ。雨樋という手の届かない所に行ってしまった恋は、取り戻す事ができず、やがて時と共に朽ち果ててしまう。
つまり彼女が転校してしまったら、いくら僕が彼女を想っていても手は届かない。そのうち彼女は僕の存在すら忘れてしまうだろう。それでは悲しい。
だから僕は今、彼女に告白しなければいけないんだ。例えフラれたっていい。僕の事を彼女の頭に焼き付けたいんだ。
僕は次に、歌詞に取りかかる事にした。詞は、歌いだしが肝心だ。題名でちょっと砕けた分、詞は真面目に行こうと思う。
再び悩んだ末ついに決心し、決定した歌い出しは、
1.「君に伝えたい事がある。」
2.「この広い宇宙でたった1つ。」
3.「ペコペコニョロニョロサシュッサシュッ。トワーッ!トワーッ!干し芋。トワーッ!干し芋。」
(ときめ県・PN:ガンビット)
2.「恋の歌」
そして僕は机に向かった。一生懸命ペンを走らせた。
数時間ぐらい経っただろうか、ついに歌は完成した。僕はいても立ってもいられなくなった。時計は明け方の5時だ。
でも、僕は公園に走った。歌の練習をするためだ。僕は歌った。今この切ない気持ち、愛しい気持ちを込めて歌った。
すると、
1.「今日必ず彼女に告白しよう。」、そんな勇気が湧いてきた。
2.なんと、公園の入り口に彼女が立っていた。
3.この公園に住んでいらっしゃる、「オレは昔、日本で7番目に偉かったんだー!」と言い張る、近所で有名なやっかいおじさんにボコリと殴られた。
(中野区・PN:テレホンモンガモンガ)
1.彼女とばったり会ってしまったのだ。
びっくりした僕は歌うのをやめたが、既に彼女は真っ赤になっている。
あれだけ彼女の名前が連呼されている歌だ。どんなに鈍くても、歌詩の意味は通じてしまう。
目も合わせられず、しどろもどろになっていると、彼女は走り去ってしまった。
その日、僕は学校に行かなかった。夜、友達の彰総(あきふさ)からの電話によると、
1.彼女も学校に来なかったという。[Click!]
2.彼女は1日中元気がなかったという。
3.彼女から、僕宛てに封筒を預かっているいう。
4.彼女が学校で大暴れし、いまだに視聴覚準備室に立てこもっているという。
(北海道札幌・PN:任天堂14)
3.飛び出してきたスーパーカーにひかれてしまったのだ。
「うわぁぁぁぁぁ…!」
そんな叫び声を上げたところで、目が覚めた。
「なんだ、夢だったのか。」どうやら、歌詞を考えてる間に眠ってしまったらしい。
それにしても、最近スーパーカーにひかれる夢をよく見る。
僕はなんだか嫌な予感がして、
1.その日学校を休んで、家で歌の続きを考える事にした。
2.嫌な予感がしていたのだが、いつもと同じように家を出た。
3.嫌な予感がして対策を練った。目には目を、スーパーカーにはスーパーカーを。ランボルギーニウラッコに乗って学校へ向かった。
(神奈川県相模原・PN:月刊ピングー増刊号)
3.飛び出してきたスーパーカーにひかれてしまったのだ。
ひかれた瞬間、僕は見た。そのスーパーカーの助手席に彼女が乗っていたのを。そして気を失った。
気がつくと病院のベッドの上だった。僕の体の上で掛け布団を涙でぬらして、泣き疲れて眠る彼女がいた。
ふと、日めくりカレンダーに目をやると、あれから4日たっている。おかしい。彼女は転校しているはずだった。
すると、
1.彼女が目を覚ました。
2.枕元に、彼女の大好きなぬいぐるみが置いてあった。
3.日本じゃなかった。
(中野区・PN:テレホンモンガモンガ)
1.彼女とばったり会ってしまったのだ。
彼女は微笑みながらこう言った。
「おはよう、花形君。その歌、聴いたことのない歌ね。私とおんなじ名前が入っていたけど、有名な曲なの?」
僕は顔が真っ赤になってしまった。そして、
1.正直に話すことにした。
2.しどろもどろになりながら、適当な説明をした。
3.あまりに照れくさいので、その場から走って逃げ出してしまった。その先をスーパーカーが…。
(佐賀県・PN:梨元バンザイ)
2.彼女が、他の男と楽しそうに話しながら歩いている所に遭遇してしまったのだ。
あいつは誰なんだろう、すごく気になる。彼氏なんだろうか?
僕は2人の後をつけて会話を盗み聞きすることにした。
「もうすぐ転校だね。」
「うん、お父さんの都合だから仕方ないんだけど、ほんとは私、転校したくないの。だって…」
続けて彼女はこう言った。
1.「私、同じクラスに好きな人がいるから。」
2.「私、2年前から付き合っている人がいるから。」
3.「私、…」と言いかけたところで、突然飛び出してきたスーパーカーにはねられてしまった。
(埼玉・PN:ボス)
3.飛び出してきたスーパーカーにひかれてしまったのだ。
周りの風景がスローモーションに見えた。
薄れていく意識の中で、「ああ、これで彼女に告白することは出来ないなぁ…」なんてことを、ぼんやりと考える。
どれぐらい経っただろうか、意識が戻り目を覚ますとそこに、
1.彼女が立っていた。
2.同じクラスの友達が数人立っていた。
3.学校内で超有名なバカが立っていた。何しに来たんだろう、コイツ?リンゴを持っている。
(PN:800円ナリ)
1.彼女も学校に来なかったという。
僕は受話器を置いてから、しばらく両手を見つめていた。
別に電話の内容がショックだったわけではない。当然、彼女は学校に行かないと思っていた。そして、明日も学校に行く事はないだろう。
あれからずいぶん経つというのに、僕の両手から感触は消えない。
恥ずかしかったからなのか、寂しかったからなのか、走り去ろうとする彼女のポニーテールを右手で引き寄せ、左手に持った石で何度も叩いた。
一つだけ言える事があるならば、彼女は転校しない。
僕の家の押し入れで、ずっとあの微笑みを絶やさないことだろう。
<完> (エンディングテーマ・虎舞竜「ロード」)
(東村山市・PN:兵藤ゆき保護区)
4.彼女が学校で大暴れし、いまだに視聴覚準備室に立てこもっているという。
僕は慌てて学校に行った。校門では、先生達が困り果てた様子で何か話している。どうやら彼女は転校したくないと言ってるらしい。
僕は先生達の目をかいくぐり、視聴覚室に入った。そして、準備室の方を覗いてみると、机やバケツ、モップで武装した彼女がいた。
僕はこっそり彼女に声をかけた。
「…どうして、こんなことを、したんだい?」
「だって、だってせっかく、長い間好きだった人と、両想いだって事が分かったのに、すぐに転校しなきゃならないなんて…」
僕は彼女をギュッと抱きしめた。
「…逃げよう。」
そして僕と彼女は、校長先生のスーパーカーを黙って借り、朝日の方へ走らせた。
一体僕たちはどこに行くのか、どうなるのか、それは太陽だけが知っているのかもしれない。
でも僕たちにはもう怖い物などない。二人でいれば、どんな難問にも立ち向かえるはず。
そう思って僕らは、住み慣れた湘南の街をあとにした…。
<終>
(広島県・PN:電光石火)
2.彼女は1日中元気がなかったという。
そして彼女の引越しの日まで、僕は彼女と一言も言葉を交わせないままでいた。
このままではいけない。僕は逃げている。逃げちゃダメだ。
ぼくはありったけの勇気をふりしぼって、彼女を公園に呼び出した。
そして彼女は、最後にこの街を目に焼き付けたいと言うので、町中を散歩しながら話をする事にした。
「花形君、もう、会えなくなるのかな…」
「いや、電話とか手紙とかあるし、」
「私、引っ越す前にどうしても、花形君に言わなくちゃならないことがあるんだ。」
「いや、それなら俺もなんだ。実は、…」
と言いかけたところで、走ってきたスーパーカーにひかれ、2人は仲良く星になったとさ。
<終>
(山口県下関・PN:忍者じゃじゃ丸くん)
1.彼女も学校に来なかったという。
僕は彼女の事を心配に思いながら、彰総(あきふさ)からの電話を切った。
その直後、また電話のベルが鳴った。電話を取ると、彼女からだった。
僕は衝撃を受けた。彼女が入学式の時から僕に一目惚れをしていた事、毎日カバンにラブレターを入れ、僕に渡そうとするもいつも最後の勇気が出なくて渡せなかった事、引越しが決まった時に家族に「自分だけはこの街に残りたい」と懇願した事、そして卒業するまでずっと僕のそばにいたかったという気持ち。
彼女は最後に、僕に正式に愛の告白をしてくれようとした。
しかし男として、半泣きになっている彼女にこれ以上言葉を言わせるわけにはいかない。
僕は、彼女の気持ちに応えるため、そしてこんなにも僕の事を愛してくれていた彼女の気持ちに気付かなかった、この自分に恥じながら、彼女に僕から愛の告白をした。
その後、僕と彼女は引っ越してしまうまでの2日間だけ、恋人同士になることができた。
そして引越しの日、僕は彼女と同じ大学へ行く事を約束し、笑顔で彼女を見送った。
大学受験、頑張ろう。
<終>
(東京都中野区・PN:テレホンモンガモンガ)
3.彼女から、僕宛てに封筒を預かっているいう。
深夜だというのに自転車を飛ばし、迷惑そうな彰総(あきふさ)から封筒を受け取ると、途中の公園のベンチで街灯を頼りに開封した。
便箋10枚に渡ったその手紙は、「急に走っちゃってゴメンなさい。」から始まり、1年生の時初めて同じクラスになれて嬉しかった事、2年生の時些細な事でケンカをしたという事、いろんな行事の事、転校する事についての不安と、きっと今日丸一日かかって書いたんだろうなという事を想像させるほどびっしりと書かれていた。
そして最後の1枚。
「さみしくなるから皆には明後日の土曜日転校するって言っているけど、本当は明日の午後、この街を出ます。本当にありがとう、いっしょに『仰げば尊し』を歌いたかったけど、その100倍もいい歌をありがとう。明日はドタバタするだろうから、落ち着いて話も出来ないだろうからお手紙を書きました。長くなってゴメンなさい。さようなら。」
何度も何度も繰り返し手紙を読んだ。優しさのあふれる文面に涙が出た。「さようなら」の5文字に、次から次へと、あふれて止まらなかった。
明けて金曜日、学校に行くと彼女は1日中友達に囲まれていた。何度か目が合った気がしたけど、話す機会はなかった。
彰総(あきふさ)が能天気に「明日の土曜日、学校は休みだけど皆で見送りに行こうよ。」と言った。全員賛成していたけど、僕と彼女だけが生返事だった。
「ここでいいから。」彼女は校門の所で寂しそうに皆に笑いかけた。僕は屋上から1人で見送っていた。
さようなら僕の青春、さようなら初恋。
その時、突如上空を飛んでいたヘリコプターがバランスを崩し、空輸中のスーパーカーが落ちてきた。
さようなら俺、さようなら。
(鳩ヶ谷・PN:大野ガンバルゾ)