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学校であった怖いお話
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 サテラビューの特性を生かしたサウンドノベルのストーリーです。赤が採用された選択肢になっています。ストーリーを追うには青字と赤字の文章をたどって下さい。
 選択肢の3番目は必ずボケなくてはなりません。(^^;)

 96.4.20 放送  
 日曜日、夜11時。忘れ物のノートを取りに学校へ出かけた。
 わざわざ休日の深夜というのもバカらしいのだが、「明日までに国語の宿題を提出しなければ、成績は1だ。」という担任の言葉を思い出したのが今さっきでは、いたしかたがない。
 校門の前、夜の学校はどことなく気味が悪い。昼間に1000人からの人がいるとは思えない静けさだ。


  1.ふと見上げると、音楽室の明かりがついている。こんな時間になんだろう…?
  2.ふと見渡すと、校庭の角の旧校舎が気になった。木造2階建て、立ち入り禁止の何かと噂の多い建物だ。[Click!]
  3.こんな所に長居はしたくない。早くノートを取って、帰ろう。

 96.4.27 放送  
  2.ふと見渡すと、校庭の角の旧校舎が気になった。木造2階建て、立ち入り禁止の何かと噂の多い建物だ。

 特に理由があるわけでもないのに、僕は何かに吸い寄せられるかのように旧校舎の方へ向かって行った。
 旧校舎の周辺の空気は、不思議と冷たい気がした。意を決して扉を開け、中に入ってみる。なぜかカギがかかっていない。
 ほこりにまみれた廊下を歩くと、ミシリ、ミシリと無気味な音が校舎全体に響き渡った。
 とその時、向こうから人影が歩いてきた。暗くて良く見えないが、その人影はなにやら歌を口ずさんでいるようだった。
 よく耳を澄まして聞いてみると、


  1.「かーごーめーかーごーめー、かーごのなーかのとーりーはー…」その瞬間、風もないのに後ろの扉が閉まった。必死に開けようとしたが、ビクともしない。
  2.「とーりゃんせーとーりゃんせー、こーこはどーこのほそみちじゃー…」その瞬間、僕の足はまるで鉛のように重くなり、ピクリとも動かなくなってしまった。[Click!]
  3.「ボインはお父ちゃんのためにあるんやないでぇー、赤ちゃんのためにあるんやでぇー。」その瞬間、僕の手は勝手に胸を揉みしだき始めた。

(PN:ガンビット)
  3.こんな所に長居はしたくない。早くノートを取って、帰ろう。

 僕は走って教室へ向かった。
 静まり返った廊下に僕の足音が響く。その足音がまるで僕以外の物に聞こえてしまい、知らず知らずに足早になってしまう。
 教室の前で立ち止まった時、僕は顔が青ざめ、背中が凍る思いをした。残響音のはずの足音が他の誰かの足音としか思えないのだ。
 僕は恐る恐る振り返った。
 非常灯に照らされて不気味な緑色に光る廊下の中に、僕が目を凝らして見ると、

  1.誰もいなかった。
  2.昔の学校の制服を着た、見知らぬ少女がいた。
  3.ペプシマンがクラウチングスタイルで待っていた。

(福島県会津若松市・PN:電気部員 +?)
  2.ふと見渡すと、校庭の角の旧校舎が気になった。木造2階建て、立ち入り禁止の何かと噂の多い建物だ。

 おかしいな、入り口の扉が開いている。入学以来1度もこんなことはなかった。
 僕は好奇心を抑え切れずに、校舎の中へと足を踏み入れた。
 鉄筋コンクリートの新校舎に慣れている僕にしてみれば、1歩歩くごとにギシギシと音を立てる木造の校舎は、新鮮な気持ちすらした。
 僕は不意に立ち止まった。

  1.さっきから視線を感じる。
  2.後ろの方から入り口の扉が閉まる音がしたからだ。
  3.頭では好奇心を感じながらも、体は恐怖感を抑え切れなかったらしい。ボトボトと歩きグソをもらしていたのだ。

(鹿嶋市・PN:こわいの大好き)
  1.ふと見上げると、音楽室の明かりがついている。こんな時間になんだろう…?

 僕は好奇心を抑え切れずに、非常階段を使って4階の音楽室の前までたどり着いた。
 なぜだろう、音楽室の電気が消えている。
 キツネにつままれたような気持ちで引き返そうとすると、

  1.音楽室から話し声がする。しかも大勢だ。
  2.誰もいないはずの音楽室から、ピアノの音がする。
  3.校舎が急に動き出し、音楽室はコックピットとなり、校舎ロボット"ツヨイロボ"になった。僕は直感的に思った。「ピアノで動かせる!」

(文京区・PN:ウルトラQ)
 96.5.4 放送  
  1.「かーごーめーかーごーめー、かーごのなーかのとーりーはー…」その瞬間、風もないのに後ろの扉が閉まった。必死に開けようとしたが、ビクともしない。

 僕はパニック状態になりながら、なんとか扉を開けようと何度も何度も体当たりした。
 しかし木製のはずの扉は、まるで鋼鉄のように衝撃に耐え続けた。僕は本当に『かごの中の鳥』になってしまった。背後で歌声は次第に近づいてくる。
 そしてついに、僕の広報1mほどの所まで来た時、ポツリとこう言い残して途切れた。
 「うしろの正面だぁーれ…?」僕の体は自分の意思に反してゆっくりと後ろを振り返り始めた。
 恐る恐る声の主に目をやると、そこには、

  1.防空頭巾をかぶり、もんぺをはいた少女が立っていた。胸に縫い付けられた名札に、「田村」と書いてある。
  2.去年の夏に転校して行ったはずの森山さんが、青白い顔をして立っていた。[Click!]
  3.人なつっこさでは定評のある、用務員さんの脂谷さんが立っていた。

(PN:ガンビット)
  1.「かーごーめーかーごーめー、かーごのなーかのとーりーはー…」その瞬間、風もないのに後ろの扉が閉まった。必死に開けようとしたが、ビクともしない。

 僕の耳に歌声が響き続ける。「かーごのなーかのとーりーはー…」「かーごのなーかの…」「かーごの…」
 ここで僕ははっと気付いた。かごの中の鳥。確かに僕は今、かごの中の鳥だ。歌の文句通りになっている。不意に歌声がやんだ。
 そして、すぐに別の歌が始まった。「てるてる坊主、てる坊主、あーしたてんきにしておくれー。」
 僕はその時、この歌の3番の歌詞を思い出して身震いした。3番の歌詞は、「てるてる坊主、てる坊主、明日天気にしておくれ。それでも曇って泣いてたら、そなたの首をちょん切るぞ。」というものだ。
 「殺される…!」直感した僕はこう決心した。

  1.思い切って、扉に体当たりしてみよう。
  2.思い切って、声の主に殴りかかってみよう。
  3.思い切って、ナリタブラリアンに4万サンマドル。

(千葉県・PN:ガンビット+α)
  1.「かーごーめーかーごーめー、かーごのなーかのとーりーはー…」その瞬間、風もないのに後ろの扉が閉まった。必死に開けようとしたが、ビクともしない。

 だんだん歌声は大きくなり、その人影がゆっくりゆっくり歩くというよりは、滑るようにじわりじわりと近づいて来た。
 そして僕は見てしまった。その人影の正体を。
 その人影は、

  1.理科室にあるはずの、人体骨格模型だった。そして、僕の目の前で止まった。
  2.血まみれの少女だった。そして、僕の目の前ですーっと消えてしまった。
  3.「おい、ゆらすなよ!」三日三晩徹夜で製作していてかなりハイになっている、ドミノ甲子園の連中だった。

(静岡県・PN:俺は人気者)
 96.5.11 放送  
  2.去年の夏に転校して行ったはずの森山さんが、青白い顔をして立っていた。

 「久しぶり。」
 そのか細い消え入るような声に、僕はいろんな疑問をぶつけるタイミングを失った。
 「理科室に行かなければならないの。一緒に付いて来てくれない?」
 森山さんは僕の手を握った。冷たい感触がした。

  1.僕は少々戸惑いながらも、森山さんの訴えるような視線に断る事も出来ず、一緒に理科室に行く事にした。
  2.僕は反射的に手を離し、大きな声を出してしまった。「君は何故ここにいるんだ?一体いつの間に僕の後ろに回ったんだ?」[Click!]
  3.僕はとても嬉しかった。うまく気に入ってもらえれば、伝説の樹の下で告白してもらえるはずだ。

(豊岡・PN:ピリプリピー)
  2.去年の夏に転校して行ったはずの森山さんが、青白い顔をして立っていた。

 「も、も、森山さん…?」
 思わず声をかけたが、森山さんは黙ってうつむいている。
 そして不意にゆっくりとした動作で手招きをした。僕に背中を向けて、廊下を独りで歩いて行ってしまった。
 不思議に思って付いて行くと、森山さんは突き当たりの曲がり角の壁に、吸い込まれるように消えていった。
 僕はキツネにつままれたような気持ちで、壁を良く調べてみた。壁はそこの部分だけコンクリートで塗り固めてある。まだ新しそうだったが、真ん中に小さな亀裂があった。
 僕が亀裂に手を触れると、突然壁は崩れた。
 そして、

  1.「うわぁ!!」僕は思わず悲鳴を上げてしまった。壁の中から、人間の白骨死体が現れたのだ。
  2.「うわぁ!!」それは一瞬の出来事だった。僕は壁の中に引き込まれてしまったのだ。
  3.「うわぁ!! 脂谷さん、何やってんですかこんなところで!」

(千葉県千葉市・PN:ガンビット)
  1.防空頭巾をかぶり、もんぺをはいた少女が立っていた。胸に縫い付けられた名札に、「田村」と書いてある。

 ふと窓の外を見ると真っ赤だ。空襲警報のサイレンと共に、爆撃音まで聞こえてくる。僕の体は油汗をただ垂らすだけで、指先一つピクリとも動かせない。しばらくして、一際大きな爆音と共にあたりが大きく揺れたかと思うと、

  1.何事もなかったように、さっきの真っ暗な部屋に戻った。幻覚か…?
  2.「危ない、こっち。」少女が僕の手をつかんで走り出した。
  3.ドリフの音楽がかかり、教室が反転し、後ろから岩崎宏美が「聖女(マドンナ)たちのララバイ」を歌いながら現れた。

(滋賀県・PN:今週のビックリドッキリ男)
 96.5.18 放送  
  2.僕は反射的に手を離し、大きな声を出してしまった。「君は何故ここにいるんだ?一体いつの間に僕の後ろに回ったんだ?」

 彼女は、振り払われた手を悲しそうに見つめながら、ポツリポツリと話し始めた。
 「…憶えてる?鎌倉の遠足。楽しかったねー。体育大会もものすごく楽しかった。音楽会も、あっ、文化祭も。…ううん。ごく普通の授業だって、何でもない一瞬だって、みんな、みんな…」
 そう言いながら、森山さんの頬が月の光にキラキラと光っていた。
 一言しゃべるごとに、涙を一すじ流すごとに、森山さんが消えていく。僕も泣いていた。
 この世の出来事とは思えない情景の中、不思議と怖さはなくなっていた。
 もうほとんどその姿も消えかけている森山さんが、最後に何かを僕に伝えようとしている。
 唇の弱々しい動きは、確かにこう言っていた。

  1.「…8月。…去年の8月。」
  2.「…青山先生に、気を付けて。」[Click!]
  3.「…チーズ食いてぇな、プロセスチーズ。あー、あの歯くそ固まったみたいなやつさぁ、あのチーズ。安いチーズ。あのチーズ。」

(福岡・PN:やる事なす事)
  2.僕は反射的に手を離し、大きな声を出してしまった。「君は何故ここにいるんだ?一体いつの間に僕の後ろに回ったんだ?」

 しかし森山さんは強引に僕の手を握り返し、ものすごい力で引っ張ってきた。ギュッと握られた腕に激痛が走るほどだ。とてもか細い腕の森山さんのような、女性の力とは思えない。
 僕は大声で叫んだ。

  1.「君は森山さんじゃない!!」
  2.「確か君は行方不明になったんじゃ!?」
  3.「だからてめーのあだ名は万力(まんりき)なんだよ、この握力バカ!!」

(三重県津市・PN:サテラビュー買うぞう)
  1.僕は少々戸惑いながらも、森山さんの訴えるような視線に断る事も出来ず、一緒に理科室に行く事にした。

 森山さんは僕の手を引き、廊下を進む。
 そういえば、立ち入りを禁止された旧校舎の中の事を、僕は何も知らない。なぜ森山さんは知っているんだろう?
 そういえば、もう5分以上直線の廊下を歩いている。旧校舎の廊下がこんなに長いわけはない。そのことに気付いた時、僕は夜の旧校舎を、いるはずがない森山さんと歩いている事の異常さにもふと気付いた。
 僕は森山さんの手を振りほどき、立ち止まった。
 しかし森山さんはそのまま歩き、闇の中に溶けるように消えた。
 そして遠くから少女の笑い声が聞こえた。その時僕は、

  1.怖かったが、その正体を確かめるために森山さんが消えた闇に向かって1歩1歩歩き出した。
  2.あまりの恐怖に、歩いてきた方に全速力で走り出した。
  3.一刻も早く旧校舎から逃げ出す方法を考えた。廊下の窓に体当たりをしてみた。
  4.漏れている。そう、確かに漏らしている。もんまりと。

(PN:くだかみなみプラス)
  1.僕は少々戸惑いながらも、森山さんの訴えるような視線に断る事も出来ず、一緒に理科室に行く事にした。

 森山さんは力強く僕の手を引いて、どんどん早足になって僕を導く。一歩一歩足を踏み出すと同時に、森山さんに対する疑問が一歩一歩深まっていった。僕はこの異常な状況から早く逃げ出したかった。
 そうだ。そういえば僕はノートを取りに来たんじゃないか。
 「あのさ、僕、ノート取りに学校に来たんだ。新校舎に行かなきゃ。」
 僕は、何やら様子のおかしい森山さんから逃げるための口実になってくれればと願った。

  1.「うん、いいわ。その代わりね、30分以内にこの場所に戻ってきてくれる?必ず、30分以内に。お願い。」森山さんはそう告げた。
  2.「だめ、今は新校舎に行かない方がいい。さもないと…」
  3.「ノートならここにあるわ。」と、シルクハットの中から赤黄青のノートを取り出した。アシスタントは脂谷さんだった。「さあどれ?」

(東京都狛江・PN:シャロン・ストーンの馬)
 96.5.25 放送  
  2.「…青山先生に、気を付けて。」

 僕は、消え行く森山さんに向かって叫んだ。
 「青山先生って、一体誰なんだ!?」
 「…に、逃げて……。」
 森山さんは消えた。僕は夢を見ていたのだろうか。
  カチャッ。ギー。
 暗闇の中、扉が開いた。

  1.扉は森山さんの力で閉じられていたのだろうか。とりあえず僕は外に出た。
  2.そして、扉の前に誰かが立っていた。[Click!]
  3.そして、扉から次々とブラスバンドが入ってきた。僕はもう何がなんだかわからなくなって、先頭の小太鼓隊から小太鼓をむしり取り、ベンベケベンベケ叩き続けた。もちろん泣きながら。

(東京都大田区・PN:サイバーニュウニュウ)
  2.「…青山先生に、気を付けて。」

 「あ、青山先生?理科の青山先生の事かい?」
 僕の言葉は、木造校舎に吸い込まれるように消えた。そして何も答えず、森山さんの姿も消えた。床に残っていた彼女の涙の痕も、しばらくして消えた。
 理科の青山先生と言えば、僕らの1年生の時の担任教師で、物静かで頼りない先生だった記憶がある。いつも生徒に馬鹿にされていて、「青白」とか「骨山」とか言われていた。
 そう言えば今年に入ってから、姿を見ていない。

  1.とにかく理科室に行こう。このまま逃げ出すわけにはいかない。
  2.とにかくここを出よう。このままここにいたら、おかしくなってしまう。
  3.踊ろう。このままじっとしてるより、自分の中でこれは、ちょっと怖めのミュージカルだと思う事で大丈夫になろう。ようし決めた。曲は、「レ・ミゼラブル第2幕」より、月平をムシャムシャ食う母。

(三重県伊勢市・PN:ガチャポン戦士)
  1.「…8月。…去年の8月。」

 森山さんはそう告げると、闇になった。
 「森山さん!?どこにいるの?ほんとは隠れてるんだろ?」
 僕は心のどこかで返事を待っていた。暗闇の中に取り残された僕は、ただひたすらに森山さんを想っていた。
  チャリーン。
 何か落ちたかな?下を見ると、カギが落ちていた。
 一体どこのカギだろう…? 僕はしゃがみ込み、カギを拾った。

  1.僕の物ではない。カギには、「2階 理科」と書いてある。僕は決意した。
  2.僕の物ではないが、見覚えがあるカギだ。カギには、「M」と書いてある。
  3.マリオのカギだ。隠し面に行って、死ぬほどヨッシーに乗ろう。プリプリ卵を産もう。そしてこの事は忘れよう。

(神奈川県藤沢・PN:牛と涙と山田と鈴木)
  1.「…8月。…去年の8月。」

 と共に、今までどんなに開けようとしても開かなかったドアが自然に開いた。森山さんの消えた校舎は、水を打ったように静かになった。
 僕は急に怖くなり、ノートも取らずに家に一目散に帰った。頭の中ではずっと、森山さんの言い残した言葉が離れない。
 去年の8月、去年の8月。去年の8月といえば彼女が転校した月だ。僕は一睡も出来ないまま、次の朝を迎えた。
 僕は学校で女子から森山さんについて色々聞いてみた。
 すると、彼女は転校したのではないらしいという噂があると聞いた。
 実は森山さんは、

  1.転校したのではなく、誰かと海へ行って行方不明になったらしい。
  2.転校したのではなく、学校へ忘れ物を取りに行って行方不明になったらしい。
  3.転校したのではなく、ユーラシア大陸横断ヒッチハイクに行って、通りすがりのコンボイに乗ったまま行方不明になったらしい。

(徳島・PN:ミッドナイトギュウ)
 96.6.1 放送  
  2.そして、扉の前に誰かが立っていた。

 それは背広を着た中年の男だった。男は何も言わずに、ただ僕をじっと睨みつけていた。その凍るような視線の迫力に、僕は足がすくんでしまった。
 しかしその時、僕は森山さんの言葉を思い出した。
 『逃げて…』
 男から漂う殺気の異常さも手伝って、僕はすぐにきびすを返して廊下を逃げ出した。せっかく旧校舎から出られると思ったが、そう簡単にはいかなかったようだ。
 振り返ると、男も走って追いかけてくる。一体何者なのだろうか。そんな事を考える間もなく、僕はただがむしゃらに走りまくった。
 どこをどう走ったのか憶えていないが、僕は理科室に逃げ込んでいた。男の足音が近づいてくる。僕は急いで机の下に潜った。
 その時、ふと男の顔に見覚えがあるような気がした。よく思い出してみよう。あの男…あの男…、

  1.そうだ。あれは確か、去年まで学校にいた教育実習の先生だ。しかし、なぜだ…?[Click!]
  2.そうだ。あれは確か、職員室の壁に掛けてあった、古い写真の男だ。
  3.なんと、その男は僕自身だった。鏡なのではない。間違いなくそれは僕だった。

(千葉県千葉市・PN:ガンビット + 和歌山県・PN:こわくないよ)
  1.扉は森山さんの力で閉じられていたのだろうか。とりあえず僕は外に出た。

 新校舎の時計は、11時20分を指していた。たった20分ほどの時間が、僕には途方もなく長く感じられていた。
 夢などではない。僕は旧校舎で森山さんに会った。そして森山さんは目の前で消えた。森山さんは泣いていた。
 僕が振り返ったその時、

  1.旧校舎の2階の窓を、白い影が横切った。
  2.「かーごーめーかーごーめー…」またあの歌声だ。今度は1人や2人じゃない。大勢の子供の声だ。
  3.旧校舎が大爆発して、粉々に吹き飛んだ。そして、物陰からメガフォンを持ったスピルバーグが大きな声でカットをかけた。あっけにとられて見ている僕におかまいなしに、「続いてシーン36カット1、ネルシャツ一丁のハゲ社長、もんどりうって手打ちうどん、よーい、スタートッ!!」次のシーンが始まった。

(PN:オロロンオロロン)
  1.扉は森山さんの力で閉じられていたのだろうか。とりあえず僕は外に出た。

 …はずだった。そう、確かに僕は旧校舎の外に足を一歩踏み出した。
 しかし、扉をくぐってもくぐっても旧校舎に入ってしまうのだ。空間が歪んでるとでもいうのか、それとも僕は頭がおかしくなってしまったのか。もはや冷静な考えなど微塵も浮かばなかった。
 ただ、ぐるぐると旧校舎の玄関を果てしなく回っていた。
 もうどれだけの時間が過ぎたろう。僕は崩れるようにその場に座り込んだ。

  1.「もう授業が始まるぞ。早く教室に入れ。」目の前に白衣の男が立っていた。
  2.こうなったら理科室に行くしかないのか。僕は意を決して、暗い長い廊下を睨みつけた。
  3.となればここは、お約束の座りションベンだろう。僕は15リットルほど座りションベンを垂れた。とくれば座りグソだな。もちろん垂れた。座高がかなり高くなった。見晴らしがいいなぁ。

(PN:乳首スケスケスケルトン)
  1.扉は森山さんの力で閉じられていたのだろうか。とりあえず僕は外に出た。

 雑草の青臭い匂いがする。森山さんがこんな廃虚にずっといるなんて、それに青山先生って一体…?『逃げて…』僕は森山さんの言葉を思い出した。逃げなけりゃ。僕も、森山さんと同じ目に会うかもしれない。早くこの建物から立ち去ろう。僕は急いで家に帰って、部屋の明かりをつけてベッドに寝転んだ。森山さん、青山先生…謎が渦巻く。頭の中がゴチャゴチャしてきたので気分転換に窓を開けた。すると、家の前の街灯の下でこっちをじっと見ている人がいる。僕は気になって、

  1.窓から様子を見ていたが、思わぬ事に気がついた。
  2.怖くなってカーテンを閉め、ふとんをかぶって何も考えないようにしていた。
  3.気になったさ。気にはなったけど、僕はパンケーキを焼いた。こう見えてもぼくはパンケーキには結構自信があるんだ。ほうら、ふっくらできた。食お。

(大阪・PN:マラソンファミリー)
 96.6.8 放送  
  1.そうだ。あれは確か、去年まで学校にいた教育実習の先生だ。しかし、なぜだ…?

 生徒にナメられてイビられて、ちょうど1週間目に隣のクラスの生徒を血だらけになるまで殴り続けて、それ以来1度も学校には来なかった。
 「どこだ!!どこにいる!!」
 殺気立った声が誰もいない理科室にこだまする。
 「そこか!!」ガシャーン。
 「こっちか!!」ガシャーン。
 手当たり次第に机やイスを投げ飛ばしているようで、目の前にフラスコの破片が飛び散った。
 1年前、あの男に殴られた生徒が、半年入院した。見つかるわけにはいかない。
 ガチャンガチャンガッシャーン。
 ものすごい大きな音がしたかと思うと、それ以来物音はピタリとやんだ。静けさの中、10分ぐらいたったろうか。僕は机の下で身動き一つとれず、その10分は1時間にも5時間にも感じた。
 とにかくここから逃げよう。そう決意して、机の下を出ようとしたその時、信じられないような声が聞こえた。

  1.「…なあ、毎日学校は楽しいか?」やさしい声だった。
  2.「ふん。今日はとんだ邪魔が入ったが、昨日の続きを始めよう。教科書の25ページを開いて。」真面目な声だった。[Click!]
  3.「くそう、中に一般民間人が紛れ込んでは、巨大ロボット"旧校舎"が発進できない!」

(鳩ヶ谷・PN:大野ガンバレ)
  1.そうだ。あれは確か、去年まで学校にいた教育実習の先生だ。しかし、なぜだ…?

 なぜ先生は僕を追いかけてくるんだろう。僕は息を殺しながら机の下で考えた。何も悪い事なんかしていないのに、個人的な恨みだろうか。
 しかし僕はあの先生と喋った事もない。先生は僕のクラスの担当ではなかった。朝礼では何度か顔を見たので僕が一方的に知っているだけだ。旧校舎に無断で入ったのがまずかったんだろうか。
 それにしても先生は殺気立っている。考える事に夢中になりすぎ、僕はすぐ後ろにいる人の気配に気付かなかった。先生だ。
 先生は地の底から響くような低い声で言った。
 「…立て。」
 僕は膝の震えを抑えて恐る恐る立ち上がった。
 すると突然先生は僕の襟首をつかんでこう言った。

  1.「お前に僕の神聖な教室に入る資格はないんだ!!」
  2.「お前、去年転校した森山理恵子について知っているな?」
  3.「プールの目洗う蛇口で水飲むなっつったのにまた飲みやがったな、このやろう!!」

(PN:ガンビット)
  2.そうだ。あれは確か、職員室の壁に掛けてあった、古い写真の男だ。

 僕は理科室の鍵という鍵を閉め、イスや机でバリケードを作った。すると男はドンドンとドアを叩き続けている。僕はぶるぶると震えるばかりだ。どのくらい経った頃だろうか、あれだけ騒がしくドアを叩いていた激しい音がどういうわけかピタリとやんだ。どうなったんだろう。

  1.僕は恐る恐るバリケードをはずし、廊下を覗いてみる事にした。
  2.僕はふと、理科準備室から繋がるドアのことを思い出した。
  3.僕はよく耳を澄ましてみた。かすかに歌声が聞こえる。「とおーくまでーみえーるーみちーでーきみのーてをーにぎーりーしめーたー。」金八だ。しかも2回目の方の金八。

(埼玉県浦和市・PN:もしもしもしもーし)
 96.6.15 放送  
  2.「ふん。今日はとんだ邪魔が入ったが、昨日の続きを始めよう。教科書の25ページを開いて。」真面目な声だった。

 顔を覗かせると、先生は黙々と授業を行っている。どういうわけか、何人かの生徒の姿がぼーっと浮かんで見える。
 僕は先生が授業に夢中になっている間に逃げ出そうとした。しかし、そうは簡単に逃げ出せそうにない。
 その時、思いがけない事が起こった。それは、

  1.旧校舎に、鳴るはずのない授業終了のチャイムが鳴った。
  2.先生は教科書をたたむと、僕の方に向かってこう叫んだ。「それではこれから実習を行う。そこに隠れているカエルをみんなで捕まえてくれないか。」[Click!]
  3.授業を受けていた生徒が立ちあがり、おもむろに歌い始めた。その歌は、「ツーカーズ」だった。

(広島県・PN:サンフレッチェゴール)
  1.「…なあ、毎日学校は楽しいか?」やさしい声だった。

 思いも寄らない質問に驚きながらも、僕は思わず返事をしてしまった。
 「…は、はい。」
 再び先生の声だけが響く。
 「ふん。そりゃあ楽しいだろうなぁ。俺にあれだけ嫌がらせをすれば、さぞかし気分も良かろう。」
 僕は先生に嫌がらせをした覚えはない。あれは一部の不良グループがしたことだ。僕は慌てて弁解した。
 「せ、先生?僕は先生に嫌がらせなんかしてません。」
 「…うるさい。例えそうだとしても、お前らも見て見ぬふりをしていただろう。俺はこの学校の生徒全員を、殺してやるんだ。」
 その声と同時に、先生が薬品棚の陰からスッと現れた。手に何かビンのような物を握っている。
 よく見るとそれは、

  1.下半分が割れて、鋭いナイフのようになっているビンだった。
  2.硫酸のビンだった。
  3.去年不良グループの吉田君が先生の家の玄関の牛乳入れから牛乳を盗み、飲んだあげくにボトルシップにして返した、あの帆船の入ったホモ牛乳のビンだった。

(PN:ガンビット)
  2.「ふん。今日はとんだ邪魔が入ったが、昨日の続きを始めよう。教科書の25ページを開いて。」真面目な声だった。

 何が始まったんだ?
 突然の出来事に僕はしばらく唖然としていた。先生と僕しかいないはずの理科室で授業が行われている。
 一体どんな授業が繰り広げられているんだろう。少し覗いてみようか。
 いや、少しでも顔を出せば見つかってしまうかもしれない。どうしよう。
 しかし僕はいても立ってもいられなくなり、そっと覗いてみる事にした。
 するとそこには、恐るべき光景が繰り広げられていた。

  1.腐乱した、というよりミイラに近い死体が一体、机にイスに行儀よく座らされていた。
  2.生徒がちゃんと座っている。森山さんもいる。一体どうなっているんだ。しかも僕は、生徒の一人と目が合ってしまった。
  3.生徒はミカンの汁で白紙に文字を書き、アルコールランプであぶり出しにするという個性あふれるノートの取り方をしていた。

(東京都調布・PN:黒鉄ヒロシ683票)
  1.「…なあ、毎日学校は楽しいか?」やさしい声だった。

 そのやさしい声に僕は一瞬とまどった。しかし、今逃げ出さなければ一生この旧校舎から逃げられないような気がした。
 死にもの狂いで理科室から飛び出し、再び廊下を走り出した。廊下は長い長い一本道。さんざん走り続けた僕の体力は限界で、気力だけで走っていたようなものだ。
 やっとのことで旧校舎の裏口が見えた。
 助かった。助かった。
 そう思ったのもつかの間、裏口の前に誰か立っている。
 それは、

  1.どう先回りしたのか、教育実習のあの先生だった。手には木刀を持っている。
  2.青白い顔のたくさんの学生だった。次から次へと、裏口から旧校舎へと入ってくる。
  3.いかついグラディエーターのみなさんだった。忍者、海王、雲龍、おぐどう。

(中野区・PN:タコじゃない)
 96.6.22 放送  
  2.先生は教科書をたたむと、僕の方に向かってこう叫んだ。「それではこれから実習を行う。そこに隠れているカエルをみんなで捕まえてくれないか。」

 僕はとっさに机の下を出た。いっせいに生徒達が向かってくる。
 もうダメだ。
 僕は目を閉じた。
 しかし不思議なことに、かかってくる気配はない。徐々に目を開けてみると、生徒達が僕を取り囲んだまま立ち止まっている。
 「みんな、どうしたんだ!」
 先生も不思議に思っているようだ。
 すると、

  1.生徒達の目から涙があふれ出した。[Click!]
  2.生徒達は何かにおびえているようだった。
  3.生徒達は僕のポッケから落ちた、ペロティに釘付けになっていた。どうしてもペロティを食べたいらしい。

(PN:青山フランス娘)
  1.旧校舎に、鳴るはずのない授業終了のチャイムが鳴った。

 先生が教科書を閉じて、生徒達に声をかけた。
 「今日の授業はここまで。みんな宿題を忘れないように。以上。」
 先生が教室を出ると、生徒達は帰り支度を始め、教室から出ていった。なぜか誰も口を聞かない。そのうち、すぐに教室は空になった。
 僕はひとまずホッとして教室をすばやく出た。廊下の向こうにさっき教室を出ていった生徒達の一部が歩いている。彼らの正体がどうしても気になった僕は後をつけてみることにした。
 生徒達は旧校舎を出ると、僕が入ってきた正面ではなく、普段誰も使うことがない裏門の方へ列を成して歩いていった。やはり誰一人しゃべらない。やがて裏門を出ていった彼らは、道路の端の方で奇麗に並んで立ち止まった。
 一体何をしているんだろう…?
 樹の陰に隠れて様子を見ていると、やがて不思議な光景が飛び込んできた。

  1.見たこともない形のバスが道路を走ってきたのだ。
  2.道路脇にある古い洋館に生徒達が入っていったのだ。
  3.ハッピを着た男が現れ、生徒達は整理券を配り始めた。しまった、忘れていた。明日はNINTENDO64の発売日だ。僕も並ばなきゃ。

(千葉県千葉市・PN:ガンビット)
  2.先生は教科書をたたむと、僕の方に向かってこう叫んだ。「それではこれから実習を行う。そこに隠れているカエルをみんなで捕まえてくれないか。」

 その声を聞いた生徒達はいっせいに襲いかかってきた。
 もうこれで終わりか!?
 そう思って身構えた僕は、その襲いかかってきた連中に見覚えがあった。そう、教育実習の先生をいじめていた張本人、あの不良グループじゃないか。
 そして僕は、

  1.抵抗したが激しく痛めつけられ、そのショックで気を失ってしまった。
  2.「坂本!山田!気を確かに持て!」必死に不良のメンバーの目を覚まさせて、正気を取り戻そうとしたが、無視するかのようにジワリジワリと近づいてくる。
  3.とりあえず、その辺に落ちていたリトマス試験紙を食べてみた。おお!?青。

(PN:アラビックのり)
  2.先生は教科書をたたむと、僕の方に向かってこう叫んだ。「それではこれから実習を行う。そこに隠れているカエルをみんなで捕まえてくれないか。」

 カエル…?
 気が付くと、たくさんの人影が僕を取り囲んでいた。逃げ場がない。あまりの恐怖に身動きできない僕は、奴らのなすがままだった。
 先生は僕の正面に立つと、睨みつけながらこう言い放った。

  1.「…お前も森山のようにしてやろう。これでまた実験材料が増えたわけだな。」
  2.「…このカエル、どこから切り刻んでやろうか。そうだ、面白いことを思いついたぞ。」
  3.「…タバコ、吸う?」

(PN:ハワイ好き)
  1.旧校舎に、鳴るはずのない授業終了のチャイムが鳴った。

 「おお、もうこんな時間か。本日の授業はここまでだ。」
 先生は帰り支度を始めた。助かったか?このままじっとしていれば先生はどこかに行ってくれるかもしれない。
 そう思ってじっと息を潜めていると、ボーッと浮かんでいたたくさんの生徒も、消えて行く。先生も廊下に向かって歩き始めた。
 しかし最悪の結果が待っていた。

  1.『バタン!!』 僕は安心したためか、うかつにも机の下のイスを倒してしまった。
  2.教室の扉に手をかけた先生は、くるりと振り返り、こう言った。「お、そうだ、宿題を出すのを忘れていた。」
  3.突然僕のポケベルが鳴った。メッセージには「アイシテル」と出ている。何もこんな時に。

(富山・PN:心霊写真持ってる男)
 96.6.29 放送  
  1.生徒達の目から涙があふれ出した。

 「言うことを聞かないと、2度と授業をしてやらんぞ!」
 先生がヒステリックに怒鳴り散らしたが、生徒達はただただ涙を流しながら突っ立っていた。
 「殺せ!その男を殺すんだ!!」
 その言葉に、10人程の生徒のうち1番背の高い男子が先生の方を振り向いた。
 「僕たちは、勉強がしたかった…。」
 彼の声に教室内が静まり返った。彼は淡々と続けた。
 「あの頃、毎日朝も昼も夜もまるで、まるで夕焼けみたいに町中が燃えていた。親が死に、兄弟が死に、友達が次々と死んでいった。一学期の終わりに僕ら残された10人は、田舎に逃げることになったんだ。」
 窓際にいた、背の低い男子が喋りだした。
 「世の中が変わったら、またみんなでこの教室で勉強しような。青山先生、その時は僕に漢字をたくさん教えておくれよ。」
 おかっぱ頭の女の子が続く。
 「理科も、算数もいっぱい教えて。」
 小太りの男子が続けた。
 「青山先生とそう約束して、僕たちは学校を後にしたんだ。そして世の中が変わって僕らはこの学校に戻ってきた。でも、青山先生は…」
 背の高い男子の言葉をさえぎるように、先生は怒鳴った。
 「こうして戻ってきただろう!約束を守って勉強を教えてやっただろう!だからお前らも俺の言うことを聞け!」
 「違う!」
 今まで黙っていた生徒が声を上げた。
 「お前は青山先生なんかじゃないよ。青山先生は、僕らに必ず生きてここに帰ってこいって行ったんだ。一番大事なのは生きていることだ、命だって言ったんだ!」
 あまりの迫力に押されて、僕は2、3歩後ずさりした。拍子にロッカーを倒してしまった。
 そして、倒れたロッカーの中から、

  1.実験用のアルコールランプが床に落ち、木造校舎に引火した。
  2.ドサッと腐乱死体が倒れ込むように床に落ち、こっち向きに転がった。[Click!]
  3.元チャイルズの貴理子が、『スターどっきり(秘)報告』のプラカードを持って現れた。「ジャーマネ呼んでくれ、ジャーマネ!」僕はマネージャーを探して怒鳴りつけた。

(PN:芥川龍之スケスケパンティー)
  2.生徒達は何かにおびえているようだった。

 先生はそれを見て言った。
 「何におびえてるんだ、早くしろ!」
 しかし生徒達に動く気配がない。緊迫したムードに、僕の手のひらがじっとりと汗ばむ。
 あれ?今まで気が付かなかったが、僕は手に何かを握っている。手のひらに意識がいった瞬間に、僕はその感触をはっきりと感じ取ったのだ。
 そうだ。これは森山さんと会った時に、森山さんが僕の手を握ってくれた時に、森山さんの手から僕の手に移ったものだ。もしかしたらこれが原因で…?
 僕はそっと手を開いてみた。

  1.それは、1枚のコインだった。
  2.それは、小さなイヤリングだった。
  3.それは、小さな人だった。

(台東区・PN:耳たぶ3枚)
  1.生徒達の目から涙があふれ出した。

 その涙は、真っ赤だった。そしてみるみるうちに体がボロボロに崩れていく。あっという間に灰になり、その灰もすーっと消えて行った。
 あたりはシーンと静まり返った。
 「なぜだ、どうしてなんだ!?」
 先生は取り乱している。あ然とする僕の前で、先生は続けてこう言った。

  1.「やはり1人分の血では足りなかったか…くそう、せっかく人を殺してまで儀式をやったのに!」僕は思い出した。確かあの先生は、オカルトマニアだった。
  2.「お、お前の身に付けているそれはなんだ!?」そこで僕は気が付いた。ズボンに何かの紙が貼り付いていた。
  3.「どうして燃え尽きてしまったんだ、ジョーッ!!」

(奈良県・PN:トワイライト)
 96.7.6 放送  
  2.ドサッと腐乱死体が倒れ込むように床に落ち、こっち向きに転がった。

 その胸には、「森山」と書かれた札が付いていた。
 「森山さん!」
 僕は大声を上げた。
 腰が抜け、へたり込んで震える僕の目の前に、スーッと森山さんが現れ、生徒に向かって喋りだした。
 「その先生は青山先生なんかじゃないわ。旧校舎に私を連れ込んで、襲って、そして殺した、ただの教育実習生よ。あなたたちはだまされているのよ!」
 慌てた様子で青ざめる先生。
 生徒達の中の1人が、怒りを抑え切れずにこう言った。

  2.ドサッと腐乱死体が倒れ込むように床に落ち、こっち向きに転がった。
  1.「どうりで先生の授業は楽しくなかったんだ。青山先生じゃなきゃ、青山先生じゃなきゃ、天国に行けないのに…」するとおもむろに教室のドアが開いた。[Click!]
  2.「どうりであの一番大事な約束を憶えていなかったわけだ。」一番大事な約束…?一体どんな約束を交わしたんだろう…?
  3.「どうりでおかしいと思ったんだ。社会の時間に凡ちゃんの先読み編集局なんてやるし!凡ちゃんスティック用意してるし! 以上です、編集長!」

(PN:スポーツマンシップ)
  2.ドサッと腐乱死体が倒れ込むように床に落ち、こっち向きに転がった。

 その顔がゴロリと僕の方を向いた。
 「も、も、森山さん…!?」
 生徒の1人が変わり果てた森山さんを見ながら、教師に向かってつぶやくように言った。
 「僕らが散り散りになる前、青山先生は、僕らにこう言ってくれた。『もしもお前達が死ぬようなことがあったら、俺も死ぬ。戦争が終わってちょうど50年たったら、世の中が静かになったら、終戦記念日にこの教室で会おう。そして毎年1回、この教室で授業をやろう。』…去年の夏、待ちに待ったその日が来たんだ。僕らは約束通りここに来た。でも、最後に現れた青山先生は、偶然忘れ物を取りに学校へやって来たこの女の子を殺さなければ、授業はやらないと僕らに言った。青山先生、一体どうしちゃったんだ…?」
 それを聞くと、教壇に立っている男は、

  1.不意に涙を流しながら言った。「す、すまない…本当にすまない。俺がバカだった。俺は…俺は…契約を交わしてしまったんだ。」
  2.ニヤリと笑いながらこう言った。「青山先生…俺がか?俺は青山なんて名乗った覚えはないな。」
  3.毅然とした態度で言った。「あいつは、俺が楽しみに取っておいた、おやつのおはぎを食べたんだ!死んで当然なのさ!」

(千葉県千葉市・PN:ガンビット)
  1.実験用のアルコールランプが床に落ち、木造校舎に引火した。

 古い木造旧校舎は、あっという間に火の海に包まれた。
 「こら、離せ!先生の言うことが聞けないのか!」
 見ると先生が生徒達に取り押さえられている。振り払おうとするが、ものすごい力で押さえつけられて動けない。燃え上がる炎の中であがく先生。熱さを全く感じていない生徒達。
 そんな光景を眺めているうちに、すっかり火に囲まれてしまった。
 逃げ場はない…と思ったその時、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
 「逃げて…」
 森山さんの声だ。
 すると炎の中央が割れ、道が出来た。その先には理科室の扉。そこに森山さんが浮かんでいる。
 「今のうちよ、さあ、さあ。」
 僕は迷わず走った。すると、

  1.「待て。君も僕たちと青山先生を待つんだ。」1人の生徒に腕を強く引っ張られた。
  2.「早く、時間がないわ。」森山さんがそう言った直後、炎が校舎全体に回り始めた。そのせいか、グラグラと校舎が揺れ始めた。
  3.足を滑らせ、炎の中に入ってしまった。「アチチチチ…」高く飛び上がるとポールがあった。それに掴まって上るとスターだ、やったー。

(PN:走れユウザン)
  1.実験用のアルコールランプが床に落ち、木造校舎に引火した。

 火は瞬く間に燃え上がり、老朽化した教室をなめ尽くした。見ると生徒達がいない。
 心配になって、炎と煙が渦巻く教室の中に目をこらすと、生徒達は全員で教壇の男を押さえつけていた。生徒の1人が僕に向かって叫んだ。
 「今のうちに逃げるんだ、早く!僕たちのことは心配しないで。」
 生徒達の必死の形相を見ると、そうせざるを得なかった。
 僕は炎を避けながら全力で走り、教室を飛び出した。既に校舎中のあちこちから火の手が上がり、廊下には黒い煙が立ち込めていた。僕は煙から逃れるために、床にはいつくばり、ゆっくりゆっくり前進した。
 そんなことをしているうちにも炎はどんどん校舎を焦がし、あちこちで床や柱が崩れ落ちていく。
 なんとか校舎の出口までたどり着いた僕は、その光景を見て愕然とした。

  1.倒れた大きな柱が、出口をふさいでいたのだ。
  2.崩れた木材に混ざって、たくさんのガイコツが転がっていたのだ。
  3.校長先生が待っていたのだ。「今日の避難訓練は60点。」校長は渋い顔で言った。

(千葉県千葉市・PN:ガンビット)
 96.7.13 放送  
  1.「どうりで先生の授業は楽しくなかったんだ。青山先生じゃなきゃ、青山先生じゃなきゃ、天国に行けないのに!」するとおもむろに教室のドアが開いた。

 そこに立っていたのは若い男だった。
 男は教室に入ってくるなり、名前を呼び始めた。
 「村山悟。」
 しばらく沈黙が流れた後、生徒の1人が「はい。」と返事をした。すると、その村山と呼ばれた生徒の姿がすーっと消えた。
 男は次々と名前を呼んでいく。まるで生徒達の出席を取っているかのようだ。そして名前を呼ばれた生徒はみんな幸せそうに、満足そうな顔をして次々と消えていった。
 生徒達の間から、「今度こそ本当の青山先生だ。僕たちの名前を全部憶えてくれている。青山先生に間違いないよ!」という声が上がっている。男はそれに答えるかのようににっこりと微笑み、生徒達の名前を呼び続けた。
 そして全員の名前を呼び終え、生徒全員の姿が消えた時、

  1.教育実習の先生の顔をにらみ付け、こう言った。「私の大事な生徒に、よくも、よくも!」
  2.教育実習の先生が男に向かって叫んだ。「俺の計画を邪魔しやがって、よくも、よくも!」[Click!]
  3.僕は叫んだ。「やったー、邪魔者がいなくなった!これでおはぎは一人占めだ!」

(福島県・PN:すっきりファインアロマ)
  2.「どうりであの一番大事な約束を憶えていなかったわけだ。」一番大事な約束…?一体どんな約束を交わしたんだろう…?

 すると1人の女生徒がこう言った。
 「先生は、必ず生きて帰ってくると約束してくれた。ここで再会して授業をするって約束してくれたわ。そして、一番大事な約束。私たち皆と花火を見に行こうって。みんなの大好きな花火を見ようって、約束してくれた。それを、言えなかったあなたはやっぱり青山先生じゃない!」
 その叫び声と共に、教育実習生の先生を、全ての生徒達がにらみ付けていた。今にも襲い掛かりそうな殺気立った目をしていた。
 そして、

  1.生徒達は次々と先生に向かって飛び掛かった。
  2.生徒達はじわりじわりと先生に近づいて行った。
  3.生徒達は怒りのあまりに我を忘れ、サンバを踊りだした。

(埼玉県・PN:かもしれない)
  1.「どうりで先生の授業は楽しくなかったんだ。青山先生じゃなきゃ、青山先生じゃなきゃ、天国に行けないのに…」するとおもむろに教室のドアが開いた。

 そこから入ってきたのは、血だらけの醜い男だった。顔は醜く崩れ、体には大きな傷跡が無数にある。
 僕は思わず目をそらした。ひょっとして、青山先生…?
 生徒達が泣きながら、嬉しそうに駆け寄って行く。すると、醜かったその青山先生の体がみるみる浄化されていき、立派な青年の姿を取り戻した。
 「みんな、待たせたな。ほんとに長い間待たせたな。」
 青山先生も泣いていた。みんなの涙がきれいにぽろぽろと流れ落ち、すーっと消えていった。残されたのは濡れた床だけだった。
 呆然とそれを眺めていた僕。
 ふと気付くと、

  1.教育実習の先生が倒れていた。
  2.教育実習の先生がいつの間にか、僕の後ろに回り込んでいた。
  3.教育実習の先生が豹に変身した。

(東京都世田谷区・PN:日本シリーズハム対阪神)
  2.「どうりであの一番大事な約束を憶えていなかったわけだ。」一番大事な約束…?一体どんな約束を交わしたんだろう…?

 生徒が続けてこう言った。
 「青山先生は言ったんだ。もう1度ここで会ったら、まずみんなで歌を歌おうって。音楽発表会の時にみんなで歌った、『かごめかごめ』を、また歌おうって。」
 僕はそれを聞いてはっとした。そして生徒達に言った。
 「みんな、その青山先生っていう人は、今近くにいるはずだよ。僕はさっき聞いたんだ。『かごめかごめ』を歌う、男の声を。」
 教壇の男が薄笑いしながら言った。
 「フフッ、いるわけがないだろう。あいつは俺が永遠の闇の中へ叩き落としてやったんだからな。ようし、ここまで来たら全部話してやろう。俺はな、魂を1つ地獄に落とす度に、100日寿命を延ばしてもらえるんだ。そういう約束をさるお方としたのさ。ここにいる全員、今すぐ地獄へ案内してやろう。そこの女!お前、俺の秘密さえしゃべらなければこの世にとどまらせておいてやると言ったのを忘れたわけではあるまいな?残念だが、かわいいお前も地獄行きだ。」
 男が言い終わると突然、

  1.校舎全体が激しく揺れ始めた。
  2.男は森山さんに、いや森山さんの魂に飛びかかった。
  3.男は森山さんに、地獄谷温泉のペア宿泊券を差し出した。「おみやげもよろしくね!」と。

(PN:ガンビット)
 96.7.20 放送  
  2.教育実習の先生が男に向かって叫んだ。「俺の計画を邪魔しやがって、よくも、よくも!」

 教育実習の先生は続けて言った。
 「俺はこの学校に来て、死ぬようなつらい思いをしていたんだ。毎日毎日生徒達に馬鹿にされ、罵られ、あざけられ、本当に死のうと思っていた。先生になることが子供の頃からの夢だったのに。そんな時俺は、ふとこの旧校舎に足を踏み入れた。そこには、10人の生徒達がいた。勉強がしたい、勉強がしたいって泣いていた。それからというもの、俺は毎日あの生徒達を相手に授業をした。みんなが待ち望んでいた、青山先生の名前を語って。確かに胸は痛んだが、俺は嬉しかった。俺の授業を真面目に受けてくれる生徒がここにいる、そう思ったら嬉しくて、嬉しくて、仕方がなかったんだ。」
 教育実習の先生はそこまで一気に話し終えると、ふとため息をついた。
 そこで、僕は恐る恐る聞いてみた。
 「じゃあ、森山さんは、森山さんはどうしたんだ?」
 「森山は、」
 教育実習の先生は僕の方を向いて言った。
 「あいつは、侵入者だ。ここは俺の学校だ。踏み入れる奴は誰だろうと許さない!」
 「だから殺したのか!」
 僕は叫んだ。
 教育実習の目は明らかに常軌を逸した人間の目だ。
 そして教育実習の先生は、

  1.森山さんの死体のそばにしゃがみ込んだ。[Click!]
  2.理科室の窓を突き破り、下に飛び降りた。
  3.突然、マジックショーを始めた。手からハトは出すわ、尻から万国旗をニュルニュル出すわ、それは楽しい2時間だった。

(港区・PN:うちは金持ちだ)
  1.教育実習の顔をにらみ付け、こう言った。「私の大事な生徒に、よくも、よくも!」

 教育実習の男の襟元をつかみ、青山先生らしき男は力を込めて殴った。そして拳を下ろし、首をうなだれて言った。
 「すまない。先生は暴力で解決するようなことはしたくなかったんだ。本当にすまない。教師失格だな。」
 言い終わると、青山先生らしき男も消えてしまった。
 「バカな男だよ。俺を1発殴っただけで消えてしまうんだからな。これだから『いい先生』って言われる奴らはダメなんだよ。まあ、俺にとっては好都合だけどな。」
 そう言うと、教育実習の男は僕の方に近づいてきた。旧校舎の木製の床を1歩1歩踏みしめながら確実に僕の方へとやってくる。
 この場から早く逃げなければ、逃げなければ、逃げなければ。
 頭の中で考えていても、思うように体が言うことを聞かない。
 床のきしむ音が奏でる、死への序曲が最高潮に達した時、演奏は突然途切れた。
 僕は恐る恐る視線を上の方へやった。すると、

  1.そこには、誰もいなかった。
  2.そこには、教育実習の男の姿はなく、森山さんの霊が立っていた。
  3.そこには、リトルリーグの頃から僕を見ていたという、福岡ダイエーホークスのスカウトマンが立っていた。僕はスカウトマンの熱意に打たれて契約をした。年俸480万円で。

(神奈川県・PN:珍味百選)
  2.教育実習の先生が男に向かって叫んだ。「俺の計画を邪魔しやがって、よくも、よくも!」

 「計画とは一体なんだ?」
 そう言った青山先生の目は涙で潤んでいた。
 それをあざ笑うかのように教育実習生は語りだした。
 「俺はあいつらにこの旧校舎を守ってもらっていただけだ。俺は廊下でいじめられていたのを鼻で笑って通り過ぎていった森山を許せなくて、旧校舎に連れ込み、殺した。その時は思わず逃げ出してしまったが、死体を運ぼうと夜中に旧校舎に戻ってみたら、自習している生徒が教室にいたんだ。そして俺を見るなり、先生お帰りなさい、青山先生お帰りなさいと言うじゃないか。この世のものじゃないなってことは、わかっていたよ。でもこいつら、使えると思った。案の定、たまに授業をやってやればあいつらは毎晩この旧校舎に現れる。そうすれば噂が立ち誰も気味悪がってここには近寄らない。森山の死体を隠しておくにはちょうどいいってわけだ。ていのいい、ガードマンていうところかな。なのに、あいつらを消しやがって。こうなったら、お前にも消えてもらおうかな。」
 教育実習生が青山先生に飛びかかった。2人がぶつかりあった瞬間、僕は思わず目を伏せた。
 そして恐る恐る2人の方を見てみると、

  1.教育実習生が血を流して倒れていた。
  2.そこには誰もいなかった。青山先生も、教育実習生の姿もなかった。
  3.そこには、2人でパントマイム合戦を繰り広げる、教育実習生と青山先生の姿があった。銃を向けるパントマイムをする青山先生に対して、見えない壁…

(東京都北区・PN:アニメ脚本家志望・オルチンピック)
 96.7.27 放送  
  1.森山さんの死体のそばにしゃがみ込んだ。

 「散々傷つけておきながら、俺のこと、俺のことなんて忘れていたお前らが、俺の最後の生きがいに面白半分で踏み込んできやがって。」
 確かに、彼の名前すら憶えていない僕は、何も言い返すことは出来なかった。
 「違います、違います桜井先生。」
 そうだ。確か桜井先生だ。森山さんの言葉で思い出した。
 「私は、桜井先生のことを憶えていました。いいえ、忘れられない先生でした。両親の転勤が決まって、毎日ふさぎ込んでいる時、初めて桜井先生がうちのクラスに来て、『先生になるのが子供の頃からの夢でした。それがあと1歩でかないそうです。頑張ります。』ってあいさつして、何か自分も頑張ろうっていう気になりました。それがたった一週間であんなことになってしまって…。」
 桜井先生は森山さんの霊に背中を向けたまま、死体を見つめて震えていました。森山さんはせきを切ったように続けました。
 「一学期最後の日、その日は転校する私にとっても、この学校最後の日でした。家に帰るのがいやで、日が暮れるまで窓から外を眺めていたら、桜井先生が旧校舎に入って行くのが見えて、一言『ありがとう』って、それだけが言いたくて…」
 僕は何も言えずにただ突っ立っていた。桜井先生も、森山さんも黙ってしまった。
 2人を見ているのがつらくなって視線をそらすと、青山先生らしき男が目に入った。僕はなぜか無性に腹が立って怒鳴った。
 「あんた、あんたのせいでもあるんだぞ!あんた青山先生なんだろ!?あんたが生徒との約束を守っていれば、少なくとも森山さんは無事だったんだ。あんたどうして今まで帰ってこなかったんだよ!」
 「…私には、他にも大勢の生徒がいた。大勢の生徒が私を待っていた。今やそんな生徒達を導くのが、私の仕事になってしまった。森山さんと言ったね。申し訳ないことをした。もしよかったら私と一緒に来るかい?残念なことに、もうここは、君の居場所ではないのだから。」
 森山さんはコクリとうなずくと、桜井先生の前に回って小さな声で言った。
 「…ありがとう。」
 森山さんと青山先生がゆっくり消えていく。

  1.黙って話を聞いていた桜井先生が、突然立ち上がった。
  2.黙って話を聞いていた桜井先生が、話しかけた。[Click!]
  3.黙って話を聞いていたと思ったら、桜井先生は寝ていた。それに気付いた青山先生がツっこんだ。「おーい、寝てたのかよ!そんじゃあ森山ちゃんのセリフから、はいもう1回!」

(PN:芥川龍之スケスケパンティー)
  2.理科室の窓を突き破り、下に飛び降りた。

 「あっ!」
 あまりの突然の出来事に僕は思わず声を上げてしまった。そしてとっさに窓の下を覗いた。
 ここは2階とはいえ、校庭は土のグラウンドではない。恐らく無事ではすまないだろう。
 そう思いながら、しかし僕の目に映ったのは信じられない光景だった。はるか下の地面に、教育実習の先生はふわりと着地した。そして何事もなかったかのように学校の外へと走り去ってしまったのだ。
 僕は1人教室に残されたまま、呆然としていた。青山とかいう先生も生徒達もそこにはもういなかった。
 いや、1人だけいる。森山さんの死体だ。
 僕は変わり果てた森山さんのそばに立ち、見下ろしながら考えた。
 あの時僕は、教育実習の先生に「森山さんを殺したのか?」と聞いた。しかし先生は何も答えずに行ってしまった。
 なぜだろう?
 とその時、

  1.突然、森山さんの手が僕の足を力強くつかんだ。
  2.後ろから僕の方を叩いた。
  3.新しい柔道の技を思い付いてしまった。その名も、「悶え投げ」。

(千葉県千葉市・PN:ガンビット)
 96.8.3 放送  
  1.黙って話を聞いていた桜井先生が、突然立ち上がった。

 「俺も連れていってくれ!!」
 駆け出す桜井先生。青山先生と森山さんが消えたその先は、窓ガラスだった。窓ガラスを突き破る大きな音に続いて、鈍い音が響いた。
 理科室の窓から、うつ伏せの桜井先生の周りの地面の色が、灰色から黒く黒く変わっていくのが見えた。
 一瞬目の前が真っ暗になり、「つづく」という文字が画面の右下に現われた。時報が鳴り、続けざまに「いちにのさんすう」が始まった。
 それにしても最近の『中学生日記』はハードな内容になったものだ。番組表に見ると来週は「2年C組に宇宙生物襲来の巻」らしい。
 NHK、こんな内容からどんな教訓を学び取れというのだろう。

 おしまい。

(PN:大野ガンバレ)
  2.黙って話を聞いていた桜井先生が、話しかけた。

 「森山!お前は俺を許せるのか!?俺はお前を殺したんだぞ!」
 森山さんの答えは、もう聞き取れなかった。
 一瞬あたりが明るくなって、森山さんも、青山先生も消えてしまった。僕と桜井先生は、抜け殻のように立ち尽くしていた。
 どれぐらい時間が経ったのだろうか、桜井先生は警察に捕まり、獄中で自殺してしまったという。
 僕は、色々質問を受けたが、何をどう答えたのかよく覚えていない。一時はお化け話も流行ったが、数ヶ月がたち旧校舎は取り壊され、僕らが卒業する頃には誰も桜井先生や森山さんの事を話さなくなっていた。
 中学校最後の日、僕は1人教室の窓からぼーっと外を見ていた。
 森山さんもこんな風に外を見ていたんだなぁ。もらった卒業アルバムを開いてみても、当然森山さんの名前はない。
 僕は図書室に行って、古い卒業アルバムを引っ張り出し、セピア色の集合写真に並んだ、見覚えのある10人の生徒と担任教師の横に、森山さんと桜井先生の名前を書き足した。
 僕はまだ、このクラスに入ることは出来ないが、2人はここにいることが幸せかな、と思ったからだ。
 そして僕はゆっくりと、中学校を後にした。
 卒業だ。

 [終]

(PN:おしりだって人間だ)
  1.黙って話を聞いていた桜井先生が、突然立ち上がった。

 「ありがとう、だと?ちきしょう。そんな事言ってもお前達が俺の夢を壊したことに変わりはないんだ!」
 泣きながら、桜井先生は消えてかけていく2人に向かって走り出した。
 「危ない!」
 思わず僕は叫んだ。
 桜井先生は消えて行く2人の脇をすり抜け、開いている扉の向こうに飛び込み、落ちて行った。あまりにも突然の出来事に僕はどうすることも出来なかった。
 いやな音がした。2階から落ちた音だ。
 僕は窓の側に駆け寄った。見下ろすと、桜井先生は倒れていた。動く気配はない。
 これで誰もいなくなってしまった。今日の出来事は一体何だったんだろう。
 僕は気が抜けて、窓のそばにへたり込んでいた。外はゆっくりと明るくなっている。
 そうだ。宿題のノートを取りに来たんだ。
 なぜか突然そんなことを思い出した。今となってはどうでもいいことのはずなのに。
 僕はとりあえず旧校舎を出ると宿題のノートを取り、家路についた。
 そこにあるはずの桜井先生の死体がないことにも気が付かず。

 [終]

(川口市・PN:シンガリガリ君)